有識者の投資見通しまとめ

現代ビジネス21年1月に公開された記事の振り返り

2021/1/8に公開された現代ビジネスの複数の3年後、5年後、10年後に「生き残る会社」「消える会社」…371社を実名公開!の記事を最初の区切りである3年を超えたことから内容を振り返ります。

最終的には6人の有識者による3年~10年後の見通しを点数形式で評価している記事ですが見通し評価の一つである3年が経過したのでこの記事を振り返っていきます。

冒頭では「再生エネルギーとIT」を重視して各業種への解説へと入ってくのですが自動車業界ではEV対応への転換の弱さを指摘するような印象を持つ記事の言い回しですが23年時点ではEV車の代名詞的存在テスラの株価はリコールや低気温時での問題をたびたび耳にすることがあるなどEV車への熱量はこの記事の当時よりも高くはないように思います。スズキは「EVに駆逐される可能性」と名指しがありましたが株価自体は21年よりも伸びています。引き続き多媒体からEVへの懸念を指摘する記事も見られました。

ITも重要なキーワードとして挙げているものの具体的なワードは5Gやリモートなどでコロナの意識が強かったことがうかがえます。24年現在でよく耳にするキーワード「半導体」の言葉は出ることはありませんでした。

交通系についてもコロナ意識が強く「航空は回復まで3年かかる」や「新幹線の需要は確実に減る」といった見出しも見られました。23年時点の株価ではJAL、ANAともに2020年にガクッと落ちじわじわ上げてきてはいるもののコロナ前の19年のレベルにはどちらも回復には至っていません。新幹線はリモートで長距離需要が減るという見立てですが乗客データがまだ21年までしかネットでは確認できないので保留です。

証券・保険業界はネガティヴ的に語られています。22年から23年の成長率は12.7%というデータを見ることはできましたが成長率はSBI・楽天の影響が強く記事でも10年後の見通しが立つのはこの2つと明示されています。保険は文章的には軽く触れる程度でいざ採点表では10~14点と悪くない数字です。

その他のポジティヴ要因での固有名詞では飲食系で伊藤園・森永乳業、冷凍食品が強くなる見立てからニチレイ、日本水産、マルハニチロ。海外展開で味の素、キッコーマン、日清食品が挙がっています。対して製薬や不動産は見通しが不安点な論調で書かれた記事となっていました。

そして採点リストとなるのですが最高点は17点の日本電産(ニデック)・村田製作所の電子部品系、最低点は4点で青山・オンワード・ワールドなどのアパレルが目立つ形です。ニデックは記事を公開していた2021年がここ5年での最高域で24年のはじめは最低域の20年に近い価格まで下げています。3月以降からは上げ始めてはいます。村田製作所の株価は21年からはなだらかに下げここまでの24年7月では21年の同水準まで戻しているといった状況です。

対して最低点のアパレル勢はいずれもコロナ前の19年には及ばないものの21年の株価からは明確に上がっています。ここだけの印象で見るとコロナからのアパレル勢は21年も停滞気味に対してニデック・村田製作所はコロナの下げはさほどなく20年から21年では明確に上げていた状態なので実は未来じゃなくて「過去1年の動きのほうを重視した評価」と感じなくもありませんし、リモートによるスーツ需要の低下を懸念してアパレル勢を低く見通したようですが「実績のないリモートを過大評価」したとも見れます。少なくとも一般社員の要望は強くても役員勢の出社させたい意向はくみ取れなかったとみていいでしょう。

石油関連の企業も一律6点の低評価となっていますがこちらもいずれも21年以降から右肩上がりの株価を形成しています。まあ「3年は乗り切れる企業」との評価は多くはつけていますし、株価は良くても「カーボンニュートラルが課題」などといった指摘は24年の時点でも言われている状況ではあるので5・10年後にはエネルギーのパワーバランス次第ではやはり予断は許さないのかもしれません。

しかし評価付の一人である鈴木貴博氏は評価をしないほうが多くなぜこの仕事を受けたのか理解に苦しみます。ユーザーにとってはその業種への理解が低い、単にやる気がないと見られてしまうリスクがあるように感じましたがいいんでしょうか?

記事作成:2024年7月2日