有識者の投資見通しまとめ

マネー現代記事の「プロ厳選・キャッシュリッチ企業5選」の振り返り

宇野沢茂樹氏による2024/4/2の記事日本株、じつはこれから大注目の「眠れる資産」を抱えた「プロ厳選・キャッシュリッチ企業5選」を実名紹介で紹介されていた銘柄を振り返ります。

前提として東証が資本効率の改善が要請されている中でキャッシュリッチ企業も今後、株主還元に好機を迎えているという見立ての中で5銘柄が紹介されています。
日本オラクル(4716):11295円
ファンケル(4921):1980円
スクウェア・エニックスHD(9684):5586円
三井物産(8031):3459.5円
タムロン(7740):3385円
※価格は4月2日終値。

1~3か月後の値動きの状況

1か月後では5銘柄中4銘柄値が上がっている状態でした。4月2日ごろは日経平均としては一回下げて戻った後また下げ始めのやや高値掴みの状態なのですが今回紹介されている五銘柄は三井物産を除けば横ばいか下げの地合いでした。3か月後でも4銘柄が初回の価格よりも上回ることができています。

銘柄 初回 1か月後 2か月後 3か月後
日本オラクル 11295 12320 11285 11400
ファンケル 1980 1822.5 1951 2730
スクウェア・エニックスHD 5586 6,153 4820 4767
三井物産 3459.5 3841 4038.5 3769
タムロン 3385 3,890 4380 4170

伸びではファンケルの約38%やタムロン約23%が大きく、下げではスクエニの約-15%が痛い形ですが全てを同じ金額で買っていればタムロン分で相殺され結構上積みができた形です。ファンケルを買った場合なら2カ月まで下げていたのに逆転したのですから気持ちいいでしょうね。記事でもポジティヴ性を交えながら「株価は調整局面」と的中性の高いコメントを残してもいます。

一方で唯一下げたスクエニではドラクエ12などをポジティヴ要因として挙げていますが結果としてはFF16が想定よりも下回る反応が嫌気されるなどで下がってきたわけですが開発費が高騰しがちなFF系統の懸念というのはなくこの3か月の区切りでは残念な結果となっています。とはいえキャッシュリッチ企業というテーマから見てもある程度長期保有も視野に入るジャンルとは思われますのでその他の企業も含め次回は10月ごろに再びチェックしていきます。

半年後の値動きの状況

まず初回と半年後の値動きの変化です。

銘柄 初回 半年後 比率
日本オラクル 11295 14290 126.52%
ファンケル 1980 2790.5 140.93%
スクウェア・エニックスHD 5586 5702 102.08%
三井物産 3459.5 3328 96.20%
タムロン 3385 4370 129.10%

全て同じ額買った場合なら18%ほどの利益です。日経平均だと4月と10月の差はほとんどないので良好な値といえそうです。最も伸びたファンケルは6月にキリンがTOBを発表したため暴騰したようです。ファンドと何やらあったようですが3か月かけて成立しています。買収どころか逆に子会社したことで今回のテーマからはどうなっていくのかみものではあります。

前回唯一下げていたスクエニは8月に営業利益250%増となったことで戻してきました。この期間ではネットの掲示板などではサービス終了したスマホゲームを良くいじられていた記憶がるのですがスマホ事業自体は黒字の役割を果たしAIなんかにスマホゲームの評判を聞くと高評価の返答を拾ってくる状況でした。ゲーム系はネットだとユーザーの感情が容易に触れやすい環境にあるだけに極端なポジティヴ・ネガティヴの判断が難しそうには感じました。

1年後の値動きの状況

1年経過後ではこのような動きになりました。

銘柄 初回 1年後 比率
日本オラクル 11295 15545 137.63%
ファンケル 1980 24年12月で上場終了 ---
スクウェア・エニックスHD 5586 7020 125.67%
三井物産 3459.5 2788 80.59%
タムロン 3385 3410 100.74%

全体の平均では17%ほどの上昇で半年時点とほぼ変わらずですね。日経平均は-8%ぐらいなので優秀なチョイスと言ってもいいんじゃないでしょうか。関税ショック付近の4月2日がチェックポイントとなっているのですがこの記事を書いている1ヶ月ほど過ぎてから見る分には日経平均含め大して下げてもいないですよね。改めて報道による狼狽は気を付けなければと感じます。

内容に戻ると12月に上場終了しているファンケルを除くと最も伸びているのは日本オラクルになりました。AIにここ1年の概況を聴いてみると「クラウド関連の売上高が伸長」と記事が触れているとおりの要因に触れているのでこの点も慧眼と言えますね。

逆にこの中で最も下落した三井物産は2割近い下落です。AIのまとめだと去年後半から堅調に推移し、1月6日に年初来高値と一見良い出だしみたいに書かれてしまいました。確かに去年後半は上げてはいるんですが24年5月後半時の最高値から2カ月ほどでガクッと落ちており、そこからの堅調と表現された1月6日までの年初来高値は最高値の半分も戻せていない状況でした。チャート的にも去年の最高値から落ちたところから調整?や関税ショックの今回のチェックポイントを過ぎますが4月7日ごろには最高値から落ちたところからさらに切り下げているので状況的にはよろしいとは言えないんじゃないでしょうか。

とはいえ冒頭でもふれたとおり総体的には良いチョイスといえます。次回は26年の同じ時期にまたチェックしてみます。

記事作成:2024年7月24日/2025年5月13日更新